産屋を建てた伝説の窟である宮崎県日南市の鵜戸神宮には古事記にはない話が伝わっている。残していく乳飲み子のために、トヨタマは自分の乳を窟に貼り付けて、自分がいなくても子どもが元気に育つようにした。今に残る「お乳岩」の伝説だ。また、トヨタマが海の宮からやってきたときに乗ってきた大きな亀は、トヨタマが海へ帰っていったのに気付かずに待ち続け、いつの間にか石になってしまったという「亀石」がある。鵜戸神宮を参った人々は、運だめしに亀石めがけて運玉を投げ入れる姿が見られる。
日南市風田の川上神社には、海の宮から海亀に乗ってやってきたトヨタマが留まったという話が伝わっている。だから風田地区では昔から海亀を捕ることをしないという。 |